浅田次郎

プリズンホテル2 秋

タキシードを着た極道でございます。ホテルマンという男の道を極めようとしている、ひとりの極道でございます。 みんなに聴かせようとしちゃだめ。あんたの惚れた男のために、唄うのよ。 ぼくは行くよ。君も辛いだろうが、がんばってくれ。 才能に涙はいらな…

プリズンホテル1 夏

おい花沢。善悪と大小は別物だぞ。悪かったのはいつもおめえじゃねえ。 じゃあ手紙をご本にするよ。世界中のどこの本屋さんでもお母さんが買えるように。 なにをグダグダ言ってやがる。毎日これだけ修行をしたから、今のおめえがあるんじゃねえか。親のいい…

王妃の館

男の思い出はみな傷だが、女の思い出はみな美しい。わかりますか、カオリ 男は傷を負いながら強くなるが、女は記憶の化粧をして美しくなります 私はね、この人が死ぬと言っても死なせはしない。けっしてこの人と一緒に死にもしない。もし私が死ぬことでこの…