実力養成編 4回目

  • 親権者は,親権の行使を妨害する者に対して妨害排除請求をすることができ,不法に子を抑留する第三者に対しては,子の引渡請求をなし得る

⇔子が意志能力を有しその自由な意思に基づいて第三者のもとに居住している場合には,第三者が親権の行使を妨害してるわけではないから,子の引渡請求は認められない

  • 子は,親権を行う者が指定した場所に,その居所を定めなければならない(民821条)
  • 子は,親権を行う者の許可を得なければ,職業を営むことができない(民823条)
  • 親権を行う者は,子の財産を管理し,また,その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただしその子の行為(事実行為)を目的とする債務を生ずべき場合には,本人の同意を得なければならない(民824条)

cf.後見人は,被後見人の財産を管理し,かつ,その財産に関する法律行為について被後見人を代表する(民859条)

  • 後見人は,就任後遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し,1ヶ月以内に,その調査を終わり,その目録を作成しなければならない(民853条)
  • 成年後見人は複数いても,単独で代理権又は取消権を行使することができるのが原則である。もっとも例外として,家庭裁判所は職権で,権限の共同行使又は分掌の定めをできることとしている(民859ノ2)

⇔遺言執行者

  • 後見人が,被後見人に代わって営業又は民法13条1項に掲げる行為をする場合,後見監督人があるときは,その同意を得なければならない。しかし,元本の領収についての同意は不要である(民864条)
  • 被相続人の兄弟姉妹及び事前に遺留分を放棄した相続人については,相続人の廃除の対象には含まれない
  • 相続欠格・廃除の効果は相対的
  • 推定相続人による遺言書に対する干渉行為があった場合でも,相続に関する不当な利益を目的としない場合は,相続欠格には当たらない(最判平9.12.8)
  • 相続により金銭債権(可分債権)は当然に分割される

⇔金銭

  • 相続分の譲渡の取り戻しは,譲受人が相続人又は包括受遺者であるときは認められない
  • 共同相続人が,遺産分割前に相続財産を構成する個々の財産の持分を譲渡した場合は,他の共同相続人は相続分の譲渡の場合と異なりその取り戻しをすることはできない(最判昭53.7.13)
  • 限定承認をした相続人は,相続財産を限度とする有限責任を負う。そして,債務超過の場合に限定承認者が負う債務はいわゆる責任なき債務となる。この場合,債権者は,限定承認者に対し債務の全額を請求することができるし,限定承認者が弁済してしまえば有効な弁済となる。この弁済は非債弁済ではない。
  • 不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の限定承認をした相続人である場合は,死因贈与に基づく当該相続人への所有権移転登記が,相続債権者による差押え登記よりも先にされたとしても,信義則に照らし,当該相続人は,相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することができない(最判平10.2.13)
  • 民法1016条の遺言者がその遺言に反対の意思表示をしたときとは,遺言者自ら遺言によって復任を許しているときであり,遺言執行者は,相続人に対して,民法105条の責任(①選任・監督の懈怠責任 ②不適任又は不誠実の通知・解任の懈怠責任)を負う
  • 遺産分割を永久に禁止する遺言も,5年を越えない期間内に限って分割を禁止する遺言として有効である

⇔共有物不分割特約