実力養成編 5回目

  • 商号が登記されたときは,同一視町村内において同一の営業のために,他の者がkれと同一の商号を登記することは許されない。不正競争の目的の有無は問わない(商19条)
  • 「支店長代理」「課長」「係長」などは表見支配人の「営業の主任者足ることを示すべき名称」に当たらない

⇔「支店長」「営業所長」「部長」

  • 表見支配人にいう「支店」とは,名称や登記の有無を問わないが,本店から離れて一定の範囲において対外的に独自の営業行為を行う組織の実体を有するものでなければならない(最判昭37.5.1)
  • 営業の譲受人が譲渡人の「商号を続用する」(商26条)場合とは,譲受人が譲渡人の商号と全く同一の商号をそのまま続用する場合のほか,従前の商号に何らかの字句を付加して使用した場合も含む
  • 商行為によって生じた債権の消滅時効期間は原則として5年

cf.商行為によって生じた債権とは,当事者のいずれか一方のために商行為である行為によって生じた債権であれば足りる(大判明44.3.24)

  • 現物出資について定款に定められた事項の相当性につき証明することにより検査役の調査を省略できる者は,弁護士,弁護士法人公認会計士監査法人,税理士,又は税理士法人に限定されている(限定列挙)
  • 設立手続き中に死亡等の理由で発起人が不存在となり,又は書面をもって作成された定款上の署名をした発起人が一名もいなくなったにもかかわらず設立登記がされた場合は,設立無効の原因となる(大判昭8.9.12)
  • 会社は,株主からの株式買取請求の行為に基づいて取得した自己株式であっても,消却することができる(消却できる自己株式に種類の制限はない)
  • 利益による株式の消却は,定款にすべての株主に平等に消却される旨の基本条件が定められていなければできない
  • 単元株を採用した会社は,定款により単元未満株式に係わる株券を発行しない旨を定めることができる(商221条Ⅴ)

cf.端株については,定款によっても端株券を発行する旨を定めることはできない

  • 端株主の請求があり,会社が端株を譲渡すべき場合,会社は事故の有する株式1株を分けて端株として譲渡することができる(商220条ノ7Ⅵ)
  • 相互保有株式の要件は,総株主の議決権の4分の1を「超える」
  • 電磁的方法で招集通知を受けることを承諾した株主が電磁的方法で議決権を行使しようとするときは,会社は,正当の事由がない限り,議決権行使についての承諾を拒むことはできない(商239条ノ3)
  • 取締役は,会社に提出された議決権行使書面及び電磁的情報を総会終結の日から3ヶ月間,本店に備え置かなければならず,株主は,これを閲覧又は謄写することができる

cf.議決権の代理行使委任状

  • 利益相反取引において株主全員の同意があれば,取締役会の承認は不要
  • 利益相反取引による,会社と取締役間の無効の主張は,会社から取締役に対してすることができるが,取締役から会社に対してはすることができない(最判昭48.12.11)
  • 株主代表訴訟において,会社が取締役に責任がないと考え,取締役に補助参加することは,①全監査役の同意があり ②会社にその補助参加の利益が認められれば可能である
  • 取締役の責任を追及する株主代表訴訟であっても,原告である会社又は株主は,その取締役と和解できる(商268Ⅴ)
  • 株主代表訴訟において訴訟参加する株主は,6ヶ月前から引き続き株式を有していることを要しない(商268Ⅱ)
  • 株主代表訴訟において,株主が勝訴した場合には,弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当の額及び訴訟費用以外の支出額の範囲内で相当の額の支払いを会社に対して請求できる(商268条ノ2)

⇔被告である取締役が勝訴した場合には,弁護士報酬額を含め防御のために要した相当の額を,委任事務を処理するために受けた損害として,会社に対して請求することができる(民650Ⅲ)

  • 顧問や相談役など会社経営に関与しうる地位にある者も監査役の兼任禁止に該当する
  • 兼任禁止に該当する者を監査役に選任した場合に,被選任者が就任を承諾したときは,従前の地位を辞任したものと解されている(最判平1.9.19)

cf.被選任者が従前の地位を辞することなく就任を承諾した後も,事実上従前の地位にとどまる場合は,監査役の任務懈怠に基づく責任の原因となるが,監査役選任決議自体は有効である

  • 取締役であった者が営業年度の途中で監査役に選任された場合であっても,自己の取締役としての行為を監査することは許される(最判昭62.4.21)
  • 会社の業務及び財産の状況を調査するために少数株主権により選任された検査役が裁判所に調査の結果を報告した場合,裁判所は,必要があると認めたときには,取締役に対し,株主総会の招集を命じることができる(商294Ⅲ)

cf.株主総会招集の手続き及び決議方法を調査させるための検査役

  • 取締役会は重要財産委員会への委任に当たっては,その全部又は範囲を限定した一部に委任することができる

cf.重要な財産の処分及び譲り受けと多額の借財

⇔新株引受権証書

  • 閉鎖会社において会社が第三者割当による新株の発行をするときは,「新株の種類及び数」につき株主総会の特別決議を要する

⇔「新株を割り当てる者」は,取締役会において決定すれば足りる

  • 社債管理会社が2つ以上あるときは,社債権者に対し連帯して弁済額の支払いをする義務を負う

cf.社債管理会社が2つ以上あるときは,権限の行使は共同してする

  • 社債管理会社が商法309条第1項又は309条の2第1項の行為をするために必要があれば,裁判所の許可を得て,発行会社の業務及び財産の状況を調査することができる(商309条ノ3)
  • 発行会社がある社債権者に対して著しく不公正な弁済,和解その他の行為をした場合,社債管理会社は,訴えをもってその行為を取り消すことができる。但し,受益者が善意のときは取消を請求することができない(商340条)
  • 株式会社が資本の額を定款に記載しないのは,授権資本制度の表れである
  • 法定準備金を減少させて,その金額を株主に払い戻すことができる。この払戻は,各株主の有する株式数に応じてされる必要がある。ただし,会社が有する自己株式については払戻をすることはできない
  • 会社の業務及び財産状況の調査のために裁判所が選任した検査役は,その職務を行うため必要があるときは,その子会社の業務及び財産の状況についても調査することができる(商294Ⅱ)
  • 株主の帳簿閲覧権(少数株主権)による請求を取締役は相当の理由があるときは,拒むことができる
  • 株式消却による資本の減少をするためには①減少すべき資本の額②償却すべき株式の種類,数③消却方法及び消却に要すべき金額 につちえ株主総会特別決議を要し,これらの事項の決定を取締役会に委ねることはできない
  • 資本に欠損が生じている場合でも,会社が任意に填補しないで,繰越損失金として後期に繰り越すことも差し支えない