実力養成編 6回目

  • 保険金をだまし取る目的で,被害者の承諾を得て,その者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合,傷害罪は成立する
  • Aが,一人暮らしの老人宅に押し入って金品を強奪することを計画し,凶器を用意したが,当該老人には身よりもなく,また病気がちであることがわかったので,悔悟して計画を取りやめた場合,強盗予備罪が成立し,中止犯の規定は準用されない
  • 他に家族の住む自宅に放火をして火災保険を搾取した場合,現住建造物放火罪が成立しと詐欺罪が成立し,両者は併合罪となる

⇔監禁+恐喝は牽連犯

  • 持ち主が物を置き忘れた場合でも,直ちに占有が失われるものではなく,置き忘れから距離・時間が短ければいまだ持ち主の実力支配下を脱したとは言えず,占有を離脱したものとはいえない

ex.乗客がカメラを置き忘れて5分後,約20メートル離れたところで置き忘れに気づく前に,カメラを領得した者には窃盗罪が成立する

  • 人を殺害した後,領得の意思を生じ,右犯行直後,その現場において,被害者が身につけていた財物を領得した場合には,窃盗罪が成立する

⇔死体から財物を領得しても占有離脱物横領罪

  • Aは,送金銀行が誤って自己の口座に過剰な入金をしたことに乗じて,現金自動支払機から払戻を受けると窃盗罪となる
  • 指名手配を受けて逃亡中の者が偽名を用いて就職するために,自己の顔写真を貼り付けて,架空人の氏名を記入した履歴書を作成した場合,私文書偽造罪が成立する
  • 設立準備中の株式会社の発起人代表の同意を得た者が,株式会社の設立前に,その会社の代表取締役名義で約束手形を振り出した場合,有価証券偽造罪が成立する
  • 勤務時間中であるが,交番内の当直室で休憩中の警察官に対して暴行を加えた場合,公務執行妨害罪は成立しない
  • 窃盗犯人の逮捕後に,身代わり犯人として出頭し,自己が真犯人である旨を申告した場合,犯人の身柄が解放されなかったときも,犯人隠避罪は成立する
  • 参考人が他人の刑事事件に関し虚偽の供述をしたにすぎない場合,証拠偽造罪は成立しない
  • 住居侵入罪の保護法益は,住居に誰を立ち入らせ,誰の滞留を許すかを決める自由(新住居権説)である