実力養成編 9回目

  • 共同相続の登記が相続人の一人によって保存行為として申請された場合,他の相続人に対して,登記識別情報の通知をする必要はない
  • 未成年の所有する土地について「時効取得」を原因とする所有権移転登記の申請をする場合,親権者が同意したことを証する情報を提供することを要しない

⇔売買etc...

  • 会社の債務のため代表取締役が保証人となり,かつ,会社所有の不動産について抵当権を設定する場合は,利益相判に関する取締役会の承認は不要である

代表取締役が連帯債務者

  • 成年後見人の居住用ではない不動産について,その後見人が売買を原因として所有権移転登記を申請する場合,申請情報と併せて居住用不動産でない旨を証する情報を提供する必要はない(消極証明の不要)
  • 買戻権行使による従前の所有者への所有権移転登記の申請においては,農地法所定の許可があったことを証する情報を申請情報と併せて提供することを要する
  • 親権者とその親権に服する未成年の子との間の行為が利益相反行為に該当しないにもかかわらず,家庭医裁判所の審判で特別代理人が選任された場合,その審判は当然に無効ではなく,その特別代理人によりされた登記申請は,受理して差し支えない
  • 株式会社の取締役全員を連帯債務者(会社は債務者ではない)として会社所有の不動産に抵当権を設定する場合,取締役全員が特別の利害関係を有するので,その承認の決議をすることはできない
  • 所有権登記名義人が住所を変更したが,その変更登記をする前に死亡し,相続が開始した場合,相続登記の前提として被相続人の住所についての変更登記を要せず,被相続人の住所が変更したことを証する情報を添付して,直ちに相続登記をすることができる
  • 胎児名義で相続登記がされ,この胎児が出生した場合,集散届けにより戸籍の記載及び住民登録がされるので,これに基づき所有権登記名義人の指名等の変更登記を要する。更正登記をするわけではない
  • 地上権の存続期間を延長する変更登記は既存の地上権の効力が拡大する場合に当たるので,後順位抵当権者がいる場合は,その者は利害関係人に該当し,その物の承諾が得られれば付記登記で,そうでなければ主登記で実行される
  • 表題部の所有者と異なる敷地権付き区分建物の判決により自己の所有権を証する者が保存登記をしても,その効力は敷地権に及ばない

cf.この場合,表題部所有者に対し,敷地権付きの専有部分の所有権移転登記を求める訴えを提起し,その勝訴判決を得て,表題部所有者名義で所有権保存登記をした上で判決による登記を受けるべきである

  • 共有者の一人が持分を放棄したときに,他の共有者は放棄者に対して,持分権の移転登記手続きを求めるべきであり,放棄者の持分犬種特等記の抹消登記手続きを求めることはできない
  • 限定承認をした相続人の一人が民法932条ただし書きの規定により鑑定価額の弁済をして競売手続きを止めた場合は,法定相続分による共同相続の登記をした上で,価額弁済をした相続人以外の共同相続人の持分につき「民法932条ただし書の価格弁済」を登記原因として価額弁済をした相続人への持分移転登記を申請することを要する
  • 特別受益者であることの証明は,単なる事実の証明であり,処分行為には当たらないため,親権者とその未成年の子との間の利益相反行為に当たらない

⇔遺産分割

  • 遺留分減殺を原因とする持分移転の登記を,撤回,取消又は和解等の後発的な原因によって抹消することはできない(形成権なので)
  • 被相続人Aが生前に売却した土地の所有権移転登記が未了である場合において,Aがその財産の全部をBに包括遺贈する旨の遺言をして死亡したときは,遺言執行者がいても,当該土地の所有権移転登記手続きは,包括受遺者であるBがする
  • 遺言執行者と相続財産管理人が併存する場合でも,遺言の執行に関しては遺言執行者が相続財産の申請代理人として遺贈の登記を行うのが適当である
  • 遺言執行者の資格を証するために提出された遺言書に,遺言執行者の住所の記載がないときでも,改めて遺言執行者を選任する必要はない

cf.原則:指名及び住所の記載を要する

  • 買戻特約の登記において,その売買契約上定めた売買代金及び契約費用と異なる金額の記録があった場合でも,売り主は買い主から実際に支払いを受けた代金を返還すれば買戻を請求することができる(大判昭10.4.5)
  • 外国法人が登記を申請する場合,法人の住所として,本店の所在地のほか日本における営業所の住所を申請情報の内容とすることができる。なお,外国会社の住所として,日本における営業所のみを申請情報とすることはできない
  • 土地の共有者の一人がその持分に甲抵当権の設定登記をした後,他の共有持分全部を取得し,甲抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更登記を主登記によりした場合,甲抵当権設定登記の後順位である乙抵当権と主登記による変更登記との間の順位変更の登記を申請することができる
  • 抵当権が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において,当該抵当権がその死亡又は解散によって消滅したときは,登記権利者が単独で当該権利に関する登記の抹消を申請することができる(不登69条)