秋択9回目

  • Aの代理人であると詐称するBが、Cとの間でA所有の建物について、抵当権設定契約を締結し、Aは後日この契約を追認したが、その後、Bは、Aの代理人であると詐称してDとの間で、同一建物について更に抵当権設定契約をしてその旨の登記をした。この場合、DがBを権限ある代理人であると過失なく信頼していたときは、民法110条及び112条の類推適用による表見代理の成立を認めている
  • 訴えの取り下げが、重複訴訟を解消するためにされた場合のように、権利主張をやめたものでなく、権利についての判決による公権的判断を受ける機会を放棄したものでもないような場合には、訴えを取り下げても訴えの提起による時効中断の効力は存続する
  • 不法行為に基づく損害賠償訴訟において、、原告が同一損害の填補を目的として不当利得返還請求を追加した場合に、その後、従前の損害賠償請求の訴えを取り下げたときは、不当利得返還請求権の消滅時効を中断する効果が当初の訴え提起時にさかのぼって生じる
  • 相続によって占有権も承継されるから、相続が開始すると、共同相続人は、被相続人が有していた占有権を準共有することになる。また、所有権も相続によって承継されるため、共同相続人は相続財産に属する土地を共有することになる

⇔共同相続人の一人が、単独に相続したものと誤信し、相続開始と共に相続財産を占有し、公租公課もその負担において納入し、これについて他の相続人が何ら関心を持たず、異議を唱えた事実もなかった場合には、当該共同相続人の一人はその相続の時から、相続財産について単独所有者としての自主占有を取得する

  • 占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失又は毀損した場合は、善意の占有者は、滅失の又は毀損によって現に利益を受ける限度で回復者に対して賠償すれば足りる。ただし、所有の意思のない占有者(ex.賃借人)は、その損害の全部を賠償する義務を負う(民191条)
  • 善意の占有者が果実を取得した場合には、回復者に対して「通常の」必要費の償還を請求することはできない。しかし、すべての必要費の償還を請求できなくなるわけではない
  • 留置権者は自己に優先する担保権者に対しても、目的物を留置することができる

⇔動産質権者

  • 留置権者は、債務者の承諾を得れば、目的物を賃貸することができ、この場合、法定果実である賃料を「他の債権者に優先して」被担保債権の弁済に充当することができる

cf.質権に準用

  • 賃借人が賃貸人の承諾なく転借人をして賃借物を使用収益させた場合、賃貸人は、賃貸借契約を解除することなく直接転借人に対して賃借物の明け渡しを請求することができる
  • 賃貸人の承諾を得て賃借物が転貸された場合、転借人は、賃貸人からの賃料請求に対して借り賃の前払をもって対抗することはできない(民613条)

⇔前払でなければ対抗できる(ex.弁済期に支払う)

  • 内縁当事者の一方は、他方当事者が第三者不法行為によって死亡した場合、その他方当事者に相続人がいるときでも、加害行為をした第三者に対して、内縁配偶者固有の権利として、生命侵害による慰謝料を請求することができる
  • 遺言の撤回がされた後、その撤回行為が取り消され、又は効力を生じなくなったときでも、撤回された遺言は、その効力を回復しない(民1025条)

⇔撤回行為が詐欺又は強迫を理由に取り消されたときは、撤回された遺言を復活させる意思が明確であるので、遺言の効力が復活する